いつかあの頂へ

bufoの日記

特別台風19号

 「台風の眼」を取り巻く雲の巨大さに、遥か洋上にある時から、緊張させられた。
ましてや、先の15号台風にいためつけられた、関東、千葉に向かっているとあっては尚更だった。
今これを書いているとき、伊豆半島に上陸した彼は、小田原から、町田に居るという。
心配が当たって、なんと、新座市の真上を直撃だ。
お世話になった彼の地の皆さんに、災いがふりかかりませんように!
 
 『大雨特別警報』とか、初めての警報が出された、
雨台風のいたずらで、武蔵野を流れる川が氾濫しませんように!!
渦巻く風が、千葉の被災地を襲いませんように!!!

 名古屋は、いま、雨がやんだ、
ベランダへ出ると、雲間に月が輝いている。
ちょっと少なくなった虫が鳴いている。

 台風一過、心安らかに秋空を見上げたいものだ。








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鼓童

 年に一度のお楽しみ、鼓童ワンアースツアー名古屋公演 
二人で「県芸術劇場」へ向かう。

 客席のすべてのライトを落として、闇の中で、静かに始まる、バチの響き、
太鼓でこの静寂を表現できるのは、鼓童だけだろう。
のっけから、こちらの心が引き寄せられるような、音の世界・・・

 徐々に、強く、激しいリズムが踊りだせば、
客席のみんなの気持ちが一つになる・・・
 メンバーはすっかり若返っているけれど、
斎藤さん、見留さん、・・・懐かしいベテランが頑張っている、
  と、そこへ、「三宅」の構えが始まれば、もう、そこは鼓童の世界だ。

 今年の鼓童の構成は、いつにもましてシンプルだ。
構成然り、衣装、ライティング、また、然り。
佐渡で磨いたおいらの技だ、二本のバチに訊いてくれ」
かっこいい!!


 休憩にロビーの売店へ、
藤本吉利さんの、『たいこわらべ 五十年』 という本を購める。
30年前、佐渡へ出かけて、1週間、鼓童塾』で「秩父屋台囃子」を教わった。
その時、我々を教えてくれたのが、藤本さんだった、われわれは校長と呼んだ。
 今年は彼にお目にかかれない、どこかで奥さんとコンサートをされているのだろう、
東京での、五十年記念コンサートを知らずに聴けなかった、
ゆっくり本を読んで、彼の太鼓人生を、たどらせていただこう。

 後半もまた興奮のうちに過ぎる・・・
懐かしい屋台ばやしのリズムに体が踊りだす、
と、舞台の奥にゆっくりと、大太鼓のやぐらが現れる。
藤本校長ではなく、後継ぎの団員だ、鍛えぬいた見事な体付き・・・
そのばちさばきたるや、見事なものだ、
洒脱さという意味では、藤本さんの姿が懐かしいが、
力強さ、持久力、迫力、どれをとっても、立派な太鼓打ちだ。
いい後継ぎができて、校長も引退しちゃったのだろうか。

 大太鼓を降りると、また座って「屋台」を打つ・・・
佐渡鼓童塾で修行したその年の暮れ、ひとり訪れた「秩父の夜祭り」で見た、
あの優雅な屋台の風情とは、一味も、ふた味も違う力強さに圧倒される!

 ありがとう!鼓童の皆さん、
アンコールで、一緒に手をたたきながら、つい、涙ぐんでいた。

 日頃、何かの拍子に、屋台ばやしのリズムが、ふと思い浮かぶ、
あと何年か、残りの人生の暮らしの中に、
きっと、鼓童がある。











・・・

名古屋男声合唱団

 ハーモニカ・クラブの練習を早退して、地下鉄に乗る。
名古屋大学駅でおりて、強風の中を、豊田講堂へ。

 チケットの手配をさぼったので、当日券をもらうのに1時間待たされたにはちょっと疲れたが、
満席のホールに入場して見つけた席は、例によってかぶりつき、指揮者の後ろ2列目、
コーラスを聴くときは、一緒に歌えるような場所がいい。

 久しぶりに聴く、男声のハーモニー、
柔らかな響きに聞き入りながら、舞台の顔を眺める、
それとわかる先輩の顔が三人、四人、
え、55周年の時に元気に歌っていた同期のWata、Kato などの姿が無い・・・

 第2ステージの曲が始まると、聴きなじみのメロディーに心がほっとする、

   この空を飛べたら       中島みゆき

   ひこうき雲            荒井由美

   銀の龍の背に乗って     中島みゆき

   時の流れにー 鳥になれ  五輪真弓

 第3ステージ 
  天平歌人山上憶良 『貧窮問答歌
   時代を越えて響きあう人の思い、
   熱く歌いあげるこの合唱団の意欲作、
   はじめて聴く歌に、引き込まれる。


 心充たされて、帰り道、奥様方の会話が耳に入る、
「みなさんすっかりいいお年になられたけど、でもいい声ねぇ」

名古屋男声よ、永遠なれ









オージュリン と ミコアイサ

 今朝の散歩、
戸笠池のヨシ原に向かって、でっかい望遠レンズを向けるおじさんに
小さい声でたずねました、
 「ごめんなさい、何を狙ってらっしゃるのですか?」

気さくに返事をくれました、
 「オオジュリンという鳥よ、ほらいるでしょ」

レンズの先に雀の半分くらいの小鳥が、数羽葦の茂みを飛び回っています。
 「寿という字がつく、めでたい鳥だよ」
 「かわいいですね、いやぁ、はじめてみました」
 「20羽ぐらいいるかな、冬の間しか来ないからね」
 「なるほど、渡り鳥ですか」

 おじさんが手を休めたのをみて聴いてみた、
 「あちらのカモたちに交じって、真っ白なのが一羽だけいますが、なんという鳥ですか?」
 「ミコアイサ、巫女さんよ、これもめでたいね」

 この年になって物知らずはなんとも恥ずかしいが、
いやぁ おじさんに聞いてよかった、
年の初めに、めでたい鳥が、我が家の庭先を飛び回っている、
なぁんて、今年はいい年になりそうだ。
おじさん、ありがとう。


https://zukan.com/jbirds/internal15191

https://zukan.com/jbirds/internal15587








 元旦。

 近頃我が家の定番になった、朝の散歩で戸笠池を一周する。

 秋ごろには、60羽ほどいた渡り鳥たち、
今朝は50羽ほどになっている。

 中に一羽、真っ白な子がいる。
他の鳥たちに、群れず交じらず、
ひとり、黙々と潜ってえさをついばんでいる。

 なんという名前の鳥だろう。

 市民農園の初水やりの帰り、
畑の隣のビルの5階へ登らせてもらって、階段手摺にカメラを構える。

 鎌、御在所から、御池、藤原岳・・・
 鈴鹿の山並みから北へ、
伊吹山がどっしり構えている、


 真北にあるはずの御岳が、残念、雲隠れ。
東へレンズを振ってゆくと、南アルプスの峰が真っ白に雄姿を見せてくれている。

 毎朝薬を8錠いただくこの身体、登頂のチャンスはさらに遠のくばかりだが、
白い頂を見ると、ついカメラに収めて、瞬時、我がものにしたくなる、
これも病気の一つだろうか。

 お世話になった方々への年賀状に添えた、拙句、
 
   八十路きて 振り返り見る 峰の雪
                      橅峰

 災いはすくなに、
  幸多い年になりますように。



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市民の第九

 
 かみさんと金山市民会館へ。
半年の練習の成果を、思いっきり歌いあげようと舞台へ。

 指揮 川瀬 賢太郎
 管弦楽 名古屋フィルハーモニー交響楽団
 ソプラノ  金原 聰子
 メゾソプラノ谷田 育代
 テノール  錦織 健
 バリトン  近野 賢一

 合唱 市民の「第九」2018特別合唱団

 20回目ぐらいになるだろうか、歌うたびに、新しい気付きと喜びがある、
毎回、違った指導者の方々の、個性的なご指導に目を見張る。
あぁ、こんな第九があったんだ、
そうか、ベートーベンは、そんな気持ちでこの小節を書いたのか。

 若い指揮者の、見事な動きに導かれて、
歌いおさめる、その瞬間、客席の皆さんと一体になる。
 わが人生に、この歌があって、本当に良かった。











チック コリア

 かみさんと地下鉄で豊田市へ向かう。
楽しみにしていた、チック コリアの演奏会を聴くのだ。

 題してChick Corea Solo Piano From Mozart to Monk』

事務所でチケットを受け取るさい、紹介してもらった蕎麦屋さん
「くくり」で昼食、絶品『戸隠そば』を堪能して、豊田参合館へ。

 舞台にはピアノと、コリアのみ、司会なし、通訳なし、ひょいと始まった気さくなトーク
客席に静かな笑いが広がる。
満員の客席、おそらくはほとんどが熱烈なジャズ愛好家たち、
コリアの一挙手一投足に反応する場内の空気でそれと知れる。

 モーツァルトで始まった第一部、数曲のスタンダードが、コリアのアレンジで流れる、
ピアノには全く触ったこともないbufoも、彼の絶妙な手の動きから生まれる音に包まれて、陶然…

 休憩をはさんで第2部、
コリアのアドリブとトークに俄然会場がなごむ、
会場から希望者をひとり舞台に上げて、ピアノの横に座らせ
彼女の顔を見ながら即興演奏、 やさしく、リズミカルに・・・

次にあがった男性には、力づよいリズムと和音・・・

 盛り上がる会場の雰囲気、次に手を挙げた女性をなんとコリアの横に座らせる、
鍵盤の中ほどを指して、「ここからはきみ、こっちはぼく・・・」とやっている、
また客席に笑いがわく・・・
 そしてとうとう、コリアと彼女の、連弾が始まった・・・

 続いて上がった二人の男性、すっかりアドリブ演奏にのっている、
それに反応するコリアのしぐさと演奏にまた会場が沸く・・・
最後の男性は、コリアとハグをして、拍手の中を席に戻る・・・

 JazzらしいといえばJazzらしい、
Jazzでなければできないともいえる、この演奏、

 すっかりコリアの魅力に酔った客席に、
つづいて流れる数曲のスタンダード・・・
立ち上がったコリアにものすごい拍手、

スタンディングオベーションに応えて彼が最後に弾いた、
 名曲『スペイン』
bufoが聴いた 最高の、おそらくは最後の『アランフェス』になるだろう。

ありがとう チック コリア
僕は君のファンの仲間入りを、今日した。
しばらくは今日買ったCDを、飽きずに聴くことだろう。
きみの響きを、
きみの歌を・・・