いつかあの頂へ

bufoの日記

鼓童

 年に一度のお楽しみ、鼓童ワンアースツアー名古屋公演 
二人で「県芸術劇場」へ向かう。

 客席のすべてのライトを落として、闇の中で、静かに始まる、バチの響き、
太鼓でこの静寂を表現できるのは、鼓童だけだろう。
のっけから、こちらの心が引き寄せられるような、音の世界・・・

 徐々に、強く、激しいリズムが踊りだせば、
客席のみんなの気持ちが一つになる・・・
 メンバーはすっかり若返っているけれど、
斎藤さん、見留さん、・・・懐かしいベテランが頑張っている、
  と、そこへ、「三宅」の構えが始まれば、もう、そこは鼓童の世界だ。

 今年の鼓童の構成は、いつにもましてシンプルだ。
構成然り、衣装、ライティング、また、然り。
佐渡で磨いたおいらの技だ、二本のバチに訊いてくれ」
かっこいい!!


 休憩にロビーの売店へ、
藤本吉利さんの、『たいこわらべ 五十年』 という本を購める。
30年前、佐渡へ出かけて、1週間、鼓童塾』で「秩父屋台囃子」を教わった。
その時、我々を教えてくれたのが、藤本さんだった、われわれは校長と呼んだ。
 今年は彼にお目にかかれない、どこかで奥さんとコンサートをされているのだろう、
東京での、五十年記念コンサートを知らずに聴けなかった、
ゆっくり本を読んで、彼の太鼓人生を、たどらせていただこう。

 後半もまた興奮のうちに過ぎる・・・
懐かしい屋台ばやしのリズムに体が踊りだす、
と、舞台の奥にゆっくりと、大太鼓のやぐらが現れる。
藤本校長ではなく、後継ぎの団員だ、鍛えぬいた見事な体付き・・・
そのばちさばきたるや、見事なものだ、
洒脱さという意味では、藤本さんの姿が懐かしいが、
力強さ、持久力、迫力、どれをとっても、立派な太鼓打ちだ。
いい後継ぎができて、校長も引退しちゃったのだろうか。

 大太鼓を降りると、また座って「屋台」を打つ・・・
佐渡鼓童塾で修行したその年の暮れ、ひとり訪れた「秩父の夜祭り」で見た、
あの優雅な屋台の風情とは、一味も、ふた味も違う力強さに圧倒される!

 ありがとう!鼓童の皆さん、
アンコールで、一緒に手をたたきながら、つい、涙ぐんでいた。

 日頃、何かの拍子に、屋台ばやしのリズムが、ふと思い浮かぶ、
あと何年か、残りの人生の暮らしの中に、
きっと、鼓童がある。











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