いつかあの頂へ

bufoの日記

湯元 長座

 七十七歳にして元気であることは、うれしいことだ。
喜寿を迎える姉を誘って、飛騨路の旅に出る。


 数日前から、天気予報は雪だるま。車はやめよう。


ワイドビュー飛騨」で高山へ。


駅構内の「JRツアーズ」の安藤さんお勧めの「郷里」のラーメンを食べて、バスに乗る。


走るほどに雪が深くなるが、飛騨バスの運転手さんは腕がいい。


3時半、福地温泉、『湯元長座』の趣のある玄関に着く。




すべてのものが雪の下に静もっている。



広い敷地に豪快なつくりの部屋、この天気に、結構お客さんが入っているようだが、降り積む雪の音が聞こえそうな静けさだ。



囲炉裏を囲んでの食事は実においしい。岩魚の塩焼き、五平餅の串焼き、山菜のあえもの、つけもの・・・、それぞれがいい味だ。ローカル色豊かなフルコースであった。


高山陣屋

 2月2日 

 雪の中の朝風呂。


細かな雪片が直接肌に当たる感触がさわやかだ。


除雪作業に忙しい男衆たちの脇を通って一番のバスを待つ。


 走り始めて10分、焼岳ビューホテルの先で、バスはストップ。前方から来た観光バスが道をふさいでいる。30分ほどで、切れたチェーンを直し、やっと動いたが、その先には数台の乗用車。とてもじゃないと見た運転手君、そのままバック、ホテルの庭でUターンしてもと来た道を国道へ出た。
この間1時間、電車の時間が気になるお客さん達も、あきらめ顔で運転手の奮闘を見守った。


 駅で帰りの切符を買って、サテ雪の高山見物。



 『陣屋』には初めて入った。広いなぁ。あちこちの屋根で職員が雪下ろしをしている。廊下を歩いている目の前にドサッと落ちてくる。

 庭にこんな句碑がある。


『ふるゆきと ちからくらべの 松の枝    半亀』


 徳川幕府の幕引役を務めた大立者若き日の一句は、今日の庭の風情にぴったりである。


 歩きつかれて駅に来て驚いた、30分前に出たはずの1本前の特急がまだ古川駅を出ていないという。
台風以来、古川で折返し運転、車両の整備に手間取っているのだろう。


結局この1時間遅れの電車に乗って、名古屋へ向かう。

車中熟睡、大雪の夢を見ながら、飛騨の旅が終わった。