昼間点灯
『事故防止のため、明るい昼間でも、ライトを点けて運転すること』
英語で「デイライト」、なごやべんで「でぇりゃぁと」
昨年6月、カナダ旅行をしたとき、空港へ迎えに来た車に乗って、添乗員が最初に説明してくれたのがこの『デイライトオン』であった。
「カナダへようこそ。これからバンクーバー市内へ向かいます。
ところで皆さん、この真昼間に、車が全部ライトを点けているのにお気が付かれましたか。」
なるほど、高速道路を走ってくる車がみんなあかあかと点灯している。
3年ほど前から、始まって、以来交通事故が30%減ったという。
法律で規制されたのではなく、運転者が、自発的に始めたのだという。
車も改良されてきた、もちろんトヨタも日産も。
中に点灯していない車は、年式が古く、エンジンキーとライトが連動していないからだそうだ。
それにしても、30%はでっかい数字だ、と思った。すごい!
帰って、早速実行した。『ひるあんどん』と名づけて、エンジンをかけると即点灯した。となりでかみさんがわらっていた。
すれ違う車が、パカパカ、「オイ、消し忘れとるぞや」と教えてくれる。
最初のうちは、ご好意に敬意を表して消していたが、そのうち、手を振るだけにした、「わいは交通安全しとるんや」。
名古屋あたりで、一部のタクシーや、トラックが、昼間点灯を始めるのはその後のことだ。
ネットで検索いてみた。今でこそ、昼間点灯と入れるとごそごそ出てくるが、そのころ数少ないHPの中に、こんなのがあった。
『昼間点灯は有効だと思い、さるお役所に聞いてみた。
いわく、あまり効果があると思えない、いわく、せっかく昼間点灯している二輪車がめだたなくなる。
いわく、点灯するとガソリンが余計にいる。
という答えだった。』 とこんな内容だった。
読んで愕然とした、前例にのっとってしか仕事ができない、日本の小役人の脳みそはこの程度なのか。
30%減という数字を知らんのだろうか。
二輪車と四輪車の台数、事故数、調べるまでもない、二輪車が点灯して効果ありなら、ライト2個の4輪車が点灯したら?というのは、今まで私も気がつかなかったことだが、考えてみれば自明であろう。
燃費云々にいたっては、アホとしか言いようがない。
さて、昼行灯をやっているうちに、ある日お恥ずかしい事件を引き起こした。
木曽川畔の駐車場に車を止めて、2時間ほどの用を済ませて戻ると、なんとエンジンがかからない、コチともいわない。わが愛車は、名車であるが何しろ年式もぐんと古い。
エンジンを切って、ライトを切り忘れて2時間、バッテリーは空っぽである。
しばらく途方にくれたが、思いついて、川向こうにお住まいの先輩に電話すると、すぐにとんできてくれた。
持つべきものは友である。感謝。
そんな大失敗もあったが、今もくねくね山道、見とうしのきかん細い道、長距離ドライブでは必ず点灯する。
夕方早めに点灯する。
近頃ではタクシー、トラック、最近ではバスも点灯している。いいことはやろうじゃないか、という人もいるのだ。
と、昨日運転しながら聞いていたNHKニュースで「警察庁は、事故防止に効果のある、昼間点灯をするように、進めることになりました」というではないか。なんだかとってつけたような一文だったが。
カナダに遅れること4年、やっとわかったんだねぇ、お役所も。
いずれそのうち厄介な法律をつくるんだろうなぁ。
『昼行灯条例』なんてね。