竹下 景子さん
を見た、聞いた。
今夜7時
徳川園、蓬左文庫前広場
秋晴れの空に陽が落ちて、美術館の回廊に、着物姿の景子さんが立つ、手を伸ばせば着物の袂に手が触れそうな。
まわりに800人ぐらいの人だろうか、折りたたみいすにいっぱいだ。
琴、フルート、ドラムス、三人の女性の奏でる玄妙なリズムにのって、景子さんは読む、語る。
最初のうちこそ美しい着物姿に見とれていたが、すぐに、夢幻の世界にひき込まれた。
幾多の恋の遍歴の末に、物語の終章に近くついにたどりついた不倫の恋。
光源氏が踏み迷うエロティシズムの世界を、景子さんは凛として、読み進む。
ときにバックのトリオに耳傾け、ときに夜空にひとみをなげる、そのしぐさのひとつひとつが、なんともこのもしい。
万博の日本館館長の重責を果たした女優竹下景子さんの魅力再発見の一夜。