いつかあの頂へ

bufoの日記

修学院離宮

 春の『桂離宮』に続いて青木さんが予約してくれた京都の旅。


観光客、修学旅行生で賑わう東大路通をバスで北へ。高校生がタクシーを止めて乗り込んでいる。京都やなぁ。


 清水さんへお参りのあと、二年坂きんつばを食す。



 バスで高野へ、タクシーを拾って、曼殊院へ。
門前の弁天茶屋で、はるか京の家並みの向こうにゆったりとたたずむ愛宕山を見やりながらいただいた新蕎麦は美味であった。



 ここで4人ずつ2班に分かれる。
1時半、久賀、近藤夫妻は竹やぶの道を音羽川を渡って『離宮』へ。


 下、中、上離宮と、東山連峰の斜面に沿って三つに分かれるお庭を、元はあぜ道だったという松並木が結んでいる。


 下離宮の「寿月観」は、杮葺の屋根と障子の白さのコントラストがうつくしい数奇屋風造りの建物である。
深い軒と、広い縁。


部屋の向こうの障子を開け放てば、比叡の山も見渡せる。
「夏をむねとすべし」 
風が吹きぬける肘掛窓によって京の町並みをじっとみつめていた内親王はどんな美人だったのだろう。



離宮楽只軒
 いずれもすばらしい建物ばかりの中で、簡素な造りのこの「らくし軒」が、いちばん落ち着いて、くつろいで過ごせそうな感じだ。


 「客殿」は文字どうり客間であろう、春に拝見した「桂棚」より派手で装飾的な「霞棚」、一面に鯉と網を描いた杉戸、葵の紋を配した金具。

庭から見ると、優雅な反りの木賊葺の屋根、「網干の欄干」・・・客をもてなす舞台装置に目をみはる。



 上離宮へ登ると一気に視野が広がる。
浴龍池を見下ろす頂上に「隣雲亭」がある。


ここには棚もなく飾り戸もなく、ただ眼前に広がる洛北の峰々、西山の峰々、洛中の街並みを眺めていればいい。
まさに絶景がここにある。



 「窮すい亭」は普段使いの居間であろうか、広い障子窓の下、一尺ほどの高さに一枚板を渡した「御肘寄せ」に両肘をついてぼんやり空を見上げていれば、うん、天下泰平だぁ。


実はこの建物が建った頃、天皇家にはあんまり泰平でもなかったようだが。


 一時間半の拝観を終わり、青木さん夫妻のグループといれ違いに門を出る。


わりと新しい家が並ぶ道を、結構な道のりを歩いて「詩仙堂」にむかう。

 
 紅葉にはちょっと早いけれど、秋の古都のすばらしさをを満喫した一日でした。