ミルテの会
我が家に地下鉄が来た。
ベランダから見下ろすと、戸笠池の右端、焼き肉屋とダイエーの間、テニスコートの向こうにちっちゃい四角なコンクリート、あれが新駅だ。
玄関からこの駅まで5分、長い階段、長い通路、プラットホームまで5分かかる。電車が出たばかりで次の電車まで5分、合計15分はみなけりゃならん。
名古屋駅まで合計45分。
明日からの通勤に備えて下見に来たかみさん
「遠廻りになっても、もう一つの入り口でエレベーターを使ったほうが早いわね」
朝夕野並まで走っていた愛車ヴィッツの出番がなくなる。
さすがに新品、すっきりした照明、がっちりしたホームゲート。
だが、のぼり旗だの、テープだの、提灯?だのといった延線新駅開設のお祭り騒ぎはなーんもない。
大津波から17日。
思い出す、52年前のあの日、名古屋城天守閣の落成を祝うものは、なーンもなかった。
名古屋の城下町は伊勢湾台風に沈んでいた。
徳重からの乗車率30パーセント、みんな澄まして座っているが、会話をかわす目つき顔つきについ微笑みが漏れる。待ちかねたおらが地下鉄だ。
それにしても、のべつ幕なしに放たれる車内放送のやかましいこと、相変わらずへんてこりんなイントネーションの英語風日本語は聴きなれたが、「**学園はこちらで・・・」はともかく「○○内科小児科はこちらで・・」は全く余分だろう。
通学する学生、医者へ行きたい人は自分で降りる駅ぐらい調べて来いよ。
それに何より音量がでっかい!
傷害性難聴で内耳に傷が付いてるこちとらの耳にガンガン響く。
年間5000円払って乗ってんだ、もちっと静かな旅をさせてくれんかなぁ・・・。
初乗りのうれしさについ愚痴っぽくなってるうちに、目的地到着。
「熱田文化小劇場」にお邪魔するのは初めて、
コーラスの加藤先生のご招待でコンサート。
このところ素人の合唱やらハーモニカやらばかり、プロの演奏会は久しぶり、昨秋なべさんに頂いたチケットでドヴォルザークのチェロコンチェルトを聴いて以来である。
「ミルテの会」はソプラノ、ピアニスト、女性だけの会らしい、
聴き進むうちに気が付いたのだが皆さん実に美人揃いなのだ。
地元音大にこんな美形がそろっていたなんて!
おっちゃん、なにしに来たんだよ
後ろから声がとんで来そうだが、
いや素晴らしいコンサートであった。
会場の音響効果、加藤先生の舞台演出、富田先生のドレスアップしたピアノ・・・
応援団と称して押しかけた男爵コーラスの面々も、じゅうぶんに音楽の魔力、女性の魅力を堪能したひと時であった。