いつかあの頂へ

bufoの日記

  志摩路を走る

bufo2005-01-05



 昨夜東京から来て泊まった義妹とともに早朝快晴の伊勢道に乗る。


10時、峠のトンネルを抜けると五ヶ所湾が陽に輝いている。いつ見てもほっとする景色だ。

お墓参り


 20年ほど前までは土葬だった。
集落を外れて不便な山の中腹にある墓地は、これがまた絶好の展望台でもある。
親類縁者の墓前にお線香を手向けながら、目の前に広がる海を見やって「俺もこの墓に入りたいなぁ」というのは、ここへ登るたびにいつも誰かしらつぶやくセリフである。


真珠


 義妹が友人に買い物を頼まれたという。
彼女のネックレスのデザインと値段にほれた友人から、こんど帰郷したらぜひ同じものをとリクエストされたそうな。


 賢島までは小一時間のドライブ。
駅の踏切を渡って、観光ガレー船の船着場を回ると大畑真珠店に着く。
奥さんは同郷、先日もおばの葬儀でご一緒だった。


色がどうの、形がどうのと、二人がいつ終わるとも知れない品定めを始めたので、外の桟橋に座って周りの海を眺める。

冬の海は美しい。周りのリゾート風の建物も面白い。


親戚値段にしてもらった挙句お土産においしそうな海苔までいただいて二人はニコニコして出てきた。ちゃっかり自分用も買ったらしい。

 「ねぇ、おなかすいたわねぇ」と、かみさんがのたまわったのは、ちょうどホテルに差し掛かったときで。


 「ここのアワビステーキは、東京の奥様たちの憧れの的なのよ」と妹がすかさず合唱する。息の合った姉妹である。


こちとらとて、アワビは嫌いなほうじゃない。


 ランチタイムぎりぎりだったが、そこは志摩観さん、にこやかにむかへてくれた。貸切のメインダイニングルームでいただく「海の幸カレー」は美味であった。


目の前には新春の陽に輝く英虞湾の海が広がって、いっそうアワビの味を引き立てる。


牡蠣

 道を間違えて三ヶ所の集落へまぎれこんだ。


そういえば暮れに送ってもらったカキの代金がまだ払ってない、
Yさんはこの三ヶ所だったはず、探せば何とか解るだろうと、間所道へ入り込む。やっと探しあてたYさんは残念ながら留守、おばぁちゃんにことずけて引き返す。

伊勢うどん


 本来の目的だった安乗のうどん屋さんに向かう。妹のまわりに伊勢うどんファンが多いという。


上村製麺さんもYさんとおなじく親類の紹介でお世話になっている。
ここのうどんは伊勢うどんファンにはこたえられないいい味である。
親子三人、にこやかに迎えてくれた。
妹は50食いただいた。
いいお土産ができた。

お伊勢さん

 今日の旅の一番の目的は妹の初詣である。


左に真っ赤な夕日、右に太平洋、伊勢湾を見ながらパールロードを走って、内宮さんへ着いたたときは真っ暗だったが、なんとかお払いの受付に間に合った。


妹の亭主Kさんはここ数年糖尿を患って、この正月も病院で迎えている。
Kさんに代わって神妙に柏手をうつ。


祝詞を聞きながら頭をたれる三人の思いはひとつである。
「どうかこの一年、Kにおだやかな日々が訪れますように」


 23号線を走りながらコンビニを探す。うどんを宅急便で送っておこうというのであるが、「扱ってはいますがあさってになっちゃいます、よかったら1キロばかり奥にクロネコさんがありますよ」 高校生か、若いバイト君が親切に教えてくれる。
ウン、きみの接客は三重丸だよ。


お陰で妹も一安心、交代で運転しながら302号へ入って家路を急ぐ。
14時間、390キロのドライブが終わった。


 「観光ホテルのアワビもおいしかったけど、伊勢うどんもなかなかねぇ」と三人、しあわせをかみしめながら、遅い夜食の膳を囲んだ。


 いい正月でした。