いつかあの頂へ

bufoの日記

こばけんさんのピエロ

 「月光とピエロ」を聴きたくて、コンサートホールへ向かう。


   ♪ 泣き笑いして わがピエロ
      秋じゃ秋じゃと うとうなり


  この先、もう唄うこともないだろう、
 あの、若き日の、思い出の名曲を聴きたくて・・・。

 まして指揮が小林研一郎となればなおさらに・・・


 愛知県芸術劇場へ着くと開場を待つ長蛇の列。
 当日券を買って最後尾に並ぶ。
 

 実のところ、この「グランフォニック」なる男声合唱団のことは何も知らない。けれど、いま名古屋に定期をうつ男声合唱団がいくつあるだろう。期待できそうな予感 があった。


 天井桟敷で聴く 滝廉太郎「花」、第一声のテナーのうたい出しが素晴らしい。うん、と姿勢を正して聞き入る。


 そして
 第2ステージ
 堀口大学 作詞  清水修 作曲
 男声合唱組曲 『月光とピエロ


 こばけんさんが促すと、そでのピアノが四声の出だしの音をゆっくり伝える。
 あのハーモニーが始まる。

  
 ♪ 月の光の照る辻に
   ピエロ寂しく立ちにけり


   ピエロの姿 白ければ
   月の光に 濡れにけり


 この詩が、大学20歳前後の作であるとはこの曲を歌ったころ承知していたが、
 開演前、プログラムを読んではじめて知った・・・ 
 実らぬ恋と不治の病と、時を同じくして遭遇した若き詩人の魂の叫びであることを。


 ♪ あたりしみじみ見渡せど
   コロンビーヌの影もなし


   あまりにことの悲しさに
   ピエロは涙流しけり


 恋人コロンビーヌが、たれあろう、かのマリー・ローランサンであることを。