塩ビ管スピーカー
スピーカーを作った。
快適である。
一口で言って、いい音である。
いい音は快適である。
今我が家にあるスピーカーは、テレビ付属、パソコン外部接続用、それにラジカセ。
そういえば車のスピーカーも。
いずれもスピーカーとは名ばかり、とりあえず音が出るといったクラスである。
もうひとつ、30代に作った『長岡鉄男設計バスレフ型スピーカー』があるが、デカ過ぎてお蔵入りになっている。
甥の弘紀君が「おじさん、まだ使えるよ。ちょっと焦げたからって、せっかく作ったんだ、助けてやらなきゃかわいそうだよ」といって火事で焼け落ちた我が家から運び出してくれた物だ。
当時木工業をしていて、夜なべのあと組み上げた。
24mm合板の箱にウォールナットの突板を張って塗り上げた。
デカクて重くて一人では動かせない。
いい音だったなぁ。
深夜にMJQやマイルス・デイビスを大音量で聴くと、今風に言えば「癒されて」スカッとしたものだ。
残念ながら今の我が家にきみの居場所はない。
今回のは、ご覧のとうり妙ちくりんな形である。
丸い筒は口径100mmの塩ビ管、下水管ともいう。
徳重のカーマで、2メートルを700mm×2本にカットしてもらった。アメ横で買ったスピーカーケーブル、岩田ふとん店で見つけたポリ綿をぎっしり詰めて低音のボンつきが落ち着いた。
以上〆て3000円・・・
肝心のユニットは、15年前、ハンズのホビー担当Aさんに頼んで取り寄せてもらった代物、ずっとダンボールに入ったままこれも半焦げになっていたものだ。それを倉庫の隅で見つけてやっと日の目を見たという次第。
『Fostex FE108SE2』という名前のこのユニット、いにしえのオーディオファンならご存知だろう。2本で3万円ぐらいだったっけ。
テレビにセットするとハイビジョンの臨場感がいっそう迫ってくる。
『タイムドメイン』とやらの、理屈も仕掛けも解らないけれど、論より証拠、しまった豊かな低音と、さわやかに伸びる高音は、いい!
銘機である。
夜更けて、この小部屋で音量を絞って聴くCharlie Haden & Pat Metheny『beyond the Missouri Sky』はうれしい。
ほかのシステムでは聴けなかった名手二人の豊かな低音が心にしみる。
あまり夜更かししないよう気をつけよう。
興味がおありの方は、
「タイムドメイン」
「えんびかんすぴーかー」
で検索してみてください。